調査研究アンケート
学術調査・アンケートの回収率を高める
学術調査やアンケート研究では、協力依頼から本調査、リマインド、結果報告まで、複数の印刷物が関わります。あらかじめ印刷設計を整理しておくことで、無駄を減らし、信頼性の高い調査運営が可能になります。ここでは、実際の研究でよく使われる印刷物と、その設計の工夫を紹介します。
事前に協力を確認する
通常、印刷部数は予算や返信率の想定をもとに決めますが、実際には誤差が生じやすいものです。そのため、本調査の前に「調査の趣旨」を説明し、協力の可否を確認しておくと、発送数を最小限に抑えることができます。少し時間はかかりますが、結果的にコストを大きく減らせる、費用対効果の高い方法です。
施設単位で人数を把握する
病院や大学など、対象者数が不明な場合は、協力依頼の段階で対象人数を確認できる設計にしておくと便利です。施設長宛てが理想ですが、実務的には現場責任者へ送付する方が回答が早く、現場に即した情報を得られます。こうして得られた人数情報をもとに、印刷部数を適正化することで、後の追加印刷や再送付の手間を減らせます。
印刷・封入の工夫
協力依頼は、往復はがきまたは定型封筒を用いるのが一般的です。この印刷物の中で、「調査の趣旨説明」と「協力人数の確認」を同時に行う構成にすると、運営効率が格段に上がります。返信が揃ったあと、必要なセット数(+予備分)を確定し、ビニール封筒(OPP)でセット単位に仕分けた状態で納品しておくと、研究者側の封入・発送作業を大幅に省力化できます。印刷の段階でこの仕分け設計を取り入れておくと、現場負担を大きく減らせます。
返信・回収の方法
返信には、料金受取人払いのはがきを利用するのが一般的です。切手不要で投函できるため、回答者の心理的負担を減らし、回答率の向上にもつながります。また、最近ではQRコードを印刷してフォーム入力も受け付ける設計が増えています。Googleフォームなどの無料ツールを併用すれば、対象者はスマートフォンから回答でき、紙とデジタルの両面でデータを回収できます。はがきで人数報告を受け、詳細情報をフォームで入力してもらうなど、ハイブリッド型の設計もおすすめです。
事例:承諾付き協力依頼はがき
研究協力の承諾を明文化できる標準様式です。施設単位で人数や責任者を同時に把握でき、調査規模を正確に見積もることが可能です。研究倫理上の同意取得資料としても活用でき、調査全体の信頼性向上に有効です。

構成とポイント
- 右面:研究名・協力依頼文・承諾チェック欄・施設名/人数欄を配置し、研究協力の意思を明確に記録できる構成。
- 左面:「料金受取人払い」の郵便指定枠と宛名欄を印刷。切手不要で返信でき、対象者の負担を軽減します。この枠は郵便局の承認が必要ですが、版下作成から紙サンプル提供まで当社で対応可能です。
事例:協力可否確認はがき
協力の可否を明確に確認できる形式です。発送部数や予算を精緻に調整でき、協力不可の回答も回収可能。母集団の把握や研究設計の見直しにも有効です。

構成とポイント
- 協力可否の選択肢(□協力する/□協力しない)を設置
- 病院名・住所・対象人数欄を併記
- 宛名面に料金受取人払印刷を実装(小錦局承認)
事例:個人情報保護対応型
個人情報記入欄にシール枠を設け、対象者が自ら封緘できる形式。
プライバシー配慮を明示することで、回答率の向上・倫理的妥当性の確保に有効です。

構成とポイント
- 承諾チェック欄/対象人数記入欄/情報保護シール枠を設置
- 返信面に料金受取人払郵便枠を配置(武蔵高萩局承認)
本調査を送付する
協力の意思が確認できたら、本調査の発送に進みます。調査票は、郵送コストと記入のしやすさのバランスを考えて設計します。短いアンケートではA3二つ折り(仕上がりA4)が一般的で、設問数が多い場合はA4の中とじ冊子が向いています。紙質は上質70kg前後を標準とし、黒1色でシンプルに仕上げると読みやすく経済的です。依頼文はA4片面で、調査の目的や問い合わせ先を明記。
返信用封筒は長3サイズに料金受取人払いを印刷しておくと、対象者が切手を貼らずに返送できます。これらの印刷物をセットで設計しておくと、発送の手間を大幅に減らせます。
封入セット例
- 調査票(冊子または二つ折り)
- 依頼文(A4)
- 返信用封筒(長3・料金受取人払い)
封入・封緘を印刷会社に依頼することで、発送作業の負担を減らすことができます。また、調査票とあわせて「結果フィードバック希望はがき」を同封しておくと、研究成果を希望者に還元する仕組みを同時に設計できます。
結果フィードバックの仕組みをつくる
調査結果の一部を希望者に還元する仕組みを設け、事前に伝えると「研究がきちんと活用されている」「自分の協力が社会の役に立っている」という安心感を与え、回答率の向上にもつながります。また、研究成果を還元する姿勢を示すことは、研究者と対象者の信頼関係を深めるうえでも重要です。
フィードバック希望の収集方法
結果送付を希望する人の氏名・住所を取得する際には、調査回答内容と個人情報を分けて管理することが求められます。
そのため、調査票とは別に返送できる形式で設計するのが一般的です。
- 調査票
匿名で回答(内容部分) - 結果送付希望票
住所・氏名のみ記入(個人情報部分)
この2つを分けることで、倫理審査における「匿名性の担保」や「個人情報保護」の要件を満たしやすくなります。
はがき形式と用紙形式の選択
結果送付希望票は、料金受取人払いのはがきまたはA5〜A4サイズの用紙形式で作成します。
- はがき形式
調査票とは別に返送できるため、匿名性を確保しやすく、 また「あとからでも投函できる」柔軟性があります。 倫理審査や大学附属病院の研究など、厳密な個人情報管理を求められる場合に適しています。 - 用紙形式
調査票と同じ返信封筒にまとめて返送する運用に向いています。 希望者のみが調査票と一緒に返送することで、封入作業が簡略化でき、 印刷コストも抑えられます。
運用方法に合わせて、最適な仕様をご提案します。
事例:調査結果送付希望はがき

調査結果を希望者に送付するためのはがき形式の例です。研究への信頼性を高め、協力者との関係を長期的に築くために有効です。
主な構成とポイント
- お名前・住所・電話番号の記入欄 結果送付先を明確にし、返送後の事務作業をスムーズにします。
- 情報保護シール枠 個人情報を封緘できる仕様で、プライバシーへの配慮を示します。
- 料金受取人払い指定枠 切手不要で投函でき、返信しやすさを確保します。
このはがきは、調査票と一緒に同封し、希望者のみが返送します。「結果を受け取れる」という明確なメリットを提示することで、回答意欲の向上にも効果があります。
調査結果の還元方法
調査結果をどのように還元するかは、研究の性質や対象者に応じて選択します。
- 報告書(印刷物)を配布
研究成果を冊子やレポートとしてまとめ、郵送や会場で配布します。 - PDFをメールで配布
希望者へ電子ファイルを送付する方法。コストを抑えつつ迅速に届けられます。 - 研究サイトや学会での公開
Webサイトや学会発表を通じて結果を共有し、研究の透明性を高めます。
料金受取人払いで回収する
学術調査の返信では、切手不要で返送できる『料金受取人払い郵便』が広く利用されています。
返信された分だけ郵便料金を支払う方式で、コスト効率と確実な回収を両立できます。
主なメリット
- 切手貼付の手間が不要
- 返信分のみの支払いで経済的
- 研究機関や医療機関でも利用可能
利用手続きの流れ
- レイアウト(版下)を作成
- 紙・封筒サンプルを用意
- 郵便局に「料金受取人払承認請求書」を提出
承認申請は利用者自身が行いますが、版下や紙サンプルは印刷所で準備可能です。
封筒・はがきの目安
| 用途 | 推奨サイズ | 紙質・仕様 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 送付用封筒 | 角2(A4そのまま) | クラフト85g/黒1色 | 調査票や返信封筒を同封。宛名印字・封緘も対応可。 |
| 返信用封筒 | 長3(A4三つ折り) | クラフト70g/黒1色 | 切手不要で返送可能。標準的な形式。 |
| 協力依頼・リマインドはがき | 私製または官製 | 上質135kg/黒1〜2色 | 回答案内・リマインド・結果報告にも使用できる。 |
※ 封筒・はがきには承認番号と差出有効期限を印字します。 ※ レイアウトに不備があると承認が遅れるため、印刷実績のある会社への依頼がおすすめです。
回収のポイント
- 返信先を研究代表者や学部名で統一する
- 郵便番号・住所を明確に印字する
- 差出有効期限を明示し、安心感を与える
大量回収が想定される場合は、封入・発送・回収処理までを一括で委託すると、事務負担を大きく減らせます。
回収率を高めるリマインドハガキの活用
本調査を送付した後、回答が不足している場合には、追加で「リマインドハガキ」を送ることで回収率を高められます。特に、回答期限を過ぎても返信できる旨を明記しておくと、対象者に安心感を与え、返信忘れを防ぐ効果があります。返信不要の片道はがきで行えるため、低コストで導入できるのも利点です。
送付のタイミング
- 回答期限の1週間前
回答するつもりだった人への再喚起に効果的です。 - 回答期限直後
期限切れと思っていた人に安心感を与えます。「まだ受け付けています」と明記するだけで、心理的ハードルを大きく下げられます。
予算や調査の重要度に応じて、どちらか一方を選択するか、両方を組み合わせると効果的です。
リマインドハガキ形式の例
目的や配布規模に応じて、印刷の形式を選びます。
- 官製はがき
郵便局で販売される既製はがき。切手込みで手軽に利用でき、小ロット発送に向いています。 - 私製はがき
自社印刷によって大量印刷や宛名印字が可能。大規模調査や複数回発送に適しています。 - 圧着はがき
内容が見えない構造で、心理・医療系などセンシティブな調査に最適です。 「まだ受け付けています」などのメッセージを中面に印刷でき、開封した人だけが確認できます。
事例:期限延長・再送依頼タイプ

回答期限を柔軟に設定し、「期限を過ぎても返信可能」と明記する形式です。
対象者の心理的負担を軽減し、回答し忘れや期限切れによる未回収を防ぎます。
回答率を底上げする手段として、多くの大学・医療機関で採用されています。
構成と機能
- 回答期限延長の案内文
- 「再送付希望」や「問い合わせ先」欄を明記
- 研究者メールアドレスを掲載し、電子的な再送依頼にも対応
事例:期限後返信OKタイプ(官製はがき)

「締切を過ぎても返信可能」と明記したリマインドはがきです。
問い合わせ先を併記することで、対象者に安心感を与えます。
住民調査や健康調査など、広範囲の配布でも返信率を維持できます。
構成と機能
- 回答期限を過ぎても返信可能の案内文
- 研究機関・行政・調査委託先それぞれの連絡先を併記
- 官製はがきを使用し、即時発送が可能
事例:プライバシー配慮型(圧着はがき)
圧着面

表 / 裏面

圧着加工を施すことで、開封者以外に内容が見られない形式です。
センシティブなテーマ(健康・心理・感染症関連など)の調査で特に有効です。
対象者に安心感を与えることで、回収率と調査信頼性の双方を高めます。
構成と機能
- 圧着構造によるプライバシー保護
- 回答期限後も返信可の明記
- 開封位置をわかりやすく示す「◀ここから開いてください」印刷
まとめ
事前の協力依頼と人数確認、発送方法の工夫、さらにリマインドはがきの活用によって、アンケート調査はコストを抑つつ効率的に進めることが可能です。官製・私製はがきの選択や、回答期限前後でのリマインドにより、回収率を安定させられます。さらに、調査結果を報告書(印刷物)・PDF・研究サイトなどで回答者にフィードバックすることで、協力者との信頼関係を強化し、調査全体の信頼性を高めることにつながります。
進め方に困ったら
アナログ(ハガキ)とデジタル(QRコードからのフォームメール)などの設置・運用方法や、 配布方法の工夫などについて、当社にて簡易的なコンサルティングも承っています。 アナログとデジタルの両方の側面から、実務的な課題に応じてアドバイスを行います。 料金は 30分 5,000円(税別・交通費別途・オンライン対応可)。 専門的なコンサルというよりも、実務経験をもとにしたアドバイスを気軽に受けられる場とお考えください。